当該論文は、下記刊行誌に投稿受理され掲載された論文と、同等の内容を紹介するものです。
 
まてりあ 第46巻 第12号(2007)
社団法人 日本金属学会

特集「顕微鏡法による材料開発のための微細構造研究最前線(7)-3D/4Dーイメージング-」
第2項: 高傾斜3軸試料ホルダーを用いたSi単結晶中の転位の3D観察

備考: 著作権に伴い、正式論文は、社団法人 日本金属学会 にお問い合わせください。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jim/

高傾斜3軸試料ホルダーを用いたSi単結晶中の転位の3D観察

九州大学大学院総合理工学研究院  波多  聰
メルビル 宮崎裕也
九州大学大学院工学研究院 田中將己,東田賢二



Fig. 1 (a) 高傾斜3軸試料ホルダー先端部.(b) 専用ホルダー台に設置して試料ステージをZ軸回転(3.5°)した様子.
(c) Si単結晶に導入した転位のDF STEM連続傾斜像(d) (c)の黒破線で囲んだ領域の3D再構築結果.




電子線トモグラフィーの普及に伴い,結晶材料の3D組織解析への要求が多様かつ高度になってきている。
従来は困難とされてきた回折コントラストによる規則格子ドメイン構造(1)や転位(2)のトモグラフィー観察、電子回折トモグラフィー
の試み(3)などがその例である。

これらの3D観察では回折条件の調整が重要であり,2軸傾斜機能をもつ試料ホルダが必要となる。
しかし,±60°以上の高角度傾斜を要するトモグラフィー用の試料ホルダーは,1軸傾斜もしくはそれに試料ステージ回転機能が
加わったものである。この場合,回折条件の調整範囲は著しく限定され,3D観察の成否は薄膜試料の結晶方位に強く依存する。

筆者らは,結晶材料組織の3D観察に利用可能な高傾斜3軸試料ホルダーを開発した(4)。
Fig. 1(a, b)に示すように,試料ホルダの長軸に平行なX軸において,汎用型TEM(FEI社製TECNAI G2 SuperTwin)で ±80°の
試料傾斜を確保しつつ,試料中心位置でX軸と直行する水平軸Yと垂直軸Zで それぞれ ±7°傾斜と、 ±5°回転を実現した。
これにより,回折条件の精密調整が可能となった。

Fig. 1(c)は、暗視野走査透過電子顕微鏡法(DF-STEM)で撮影した Si 単結晶中の転位の連続傾斜像である。
このように、弱ビーム条件で励起した回折波の回折ベクトル g と結晶回転軸の方向を一定に保てるようになった結果、
広い傾斜範囲で明瞭な転位像を、撮影することに成功した。
Fig. 1(d)は、連続傾斜像から求めた3D再構築結果である。
すべり面状の転位組織が立体的に可視化されており、転位の3D観察技術が実用段階にあることを示している。



文  献
(1) K. Kimura et al.: J. Electron Microscopy, 54 (2005), 373.
(2) J. Barnard et al.: Science, 313 (2006), 319.
(3) U. Kolb et al.: Ultramicroscopy, 107 (2007), 507.
(4) http://www.melbuild.com/

3D Observation of Dislocation in Si Single Crystal using a High-Angle Triple-Axis (HATA) Holder.
Satoshi Hata*, Hiroya Miyazaki**, Masaki Tanaka*** and Kenji Higashida***
(*Faculty of Engineering Sciences, Kyushu University, **Mel-Build and ***Faculty of Engineering, Kyushu University, Fukuoka, Japan)
Method: We fabricated a specimen holder available for electron tomography observation of crystalline materials.
The specimen holder has a new mechanism of high-angle double-tilt axes and a rotation axis on the exchangeable specimen stage.
We succeeded in tomographic imaging of dislocations in Si single crystal using the HATA holder.